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スカパーJSAT株式会社 様

2015年10月現在

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4K放送送出システム 4K放送送出システム構築次世代放送の”デファクトスタンダード”へ 4Kなら、今まで見えなかったものが見えてくる スカパーJSAT株式会社 様
スカパー東京メディアセンター

スカパー東京メディアセンター

日本のみならず、アジア・オセアニア地域でも最大規模の衛星事業・有料多チャンネル事業を展開するスカパーJSAT様。グループの理念である「常にパイオニア精神を持ってサービスの向上を図り、豊かな社会生活の創造に貢献する」が示す通り、テレビ視聴文化の新しい可能性へ向けて常に挑戦を続けていらっしゃいます。
そしてこのたび2015年3月より世界初の商用4K放送を開始されました。今後、4K放送によって放送の未来がどのように変わっていくのか、また4K放送にかける思いやその実現のためにソニーが果たした役割について関係者の皆さまにお話を伺いました。

高画質な4K放送でより臨場感のある映像を

スカパーJSAT株式会社 永目 和弘氏

スカパーJSAT株式会社 技術運営部門
放送技術本部 放送運用部長 永目 和弘氏

スカパーJSAT株式会社 石黒 剛氏

スカパーJSAT株式会社 技術運営部門
放送技術本部 放送システム部 第3システムチーム アシスタントマネージャー 石黒 剛氏

《永目氏》 私たちが世界に先駆けて商用4K放送を決定した背景には、新しい技術へ積極的に取り組んでいくという社風があり、早い段階から検討がなされていました。営業戦略的な側面でいえば「スカパー! プレミアムサービス」への加入者を獲得するのが大きな目的であり、地上波やケーブルテレビなど競合他社との熾烈な戦いを勝ち抜くためには「世界初の商用4K放送」というインパクトが重要になると判断しました。当社には、2013年にNexTV-F(次世代放送推進フォーラム)※1 より委託を受けて4Kの試験放送システムを構築し、翌2014年から「Channel 4K」※2 の放送を行ってきたという実績があります。この試験放送で得たノウハウや技術を生かしつつ、当社が独自に培ってきた衛星技術や放送技術を活用すれば自主放送も実現可能だろうという目算がありました。
《石黒氏》 4K放送と現行のHD放送の違いは、高い解像度とフレームレートにより、大画面でも繊細で美しい映像が楽しめるようになることです。具体的には、解像度は従来の4倍、フレームレートは従来の2倍の60コマ/秒となります。そうなると4K放送は番組の質にも大きな影響を与えます。たとえばゴルフであればグリーンの芝目までくっきりと見える、サッカーなどの激しい動きのシーンであっても滑らかに見える、俯瞰した映像でも細部まで見えるようになるなど、さまざまな映像をより臨場感をもって楽しめるようになります。

従来と同じフローで使える4K放送の送出システムを

スカパーJSAT株式会社 前中 隆氏

スカパーJSAT株式会社 技術運営部門
放送技術本部 放送システム部 第3システムチーム アシスタントマネージャー 前中 隆氏

'"XAVC"対応の送出用ビデオサーバー'

"XAVC"対応の送出用ビデオサーバー

《石黒氏》 4K放送は決して簡単なものではなく、試験放送である「Channel 4K」の段階から数多くのハードルがありました。当時は4K放送自体が世界で初めてということもあり、どういう素材をどう保存しどう放送するのか、まったく情報がない状態からのスタートでした。データのファイルフォーマットすら定まっていませんでした。
《前中氏》 既存のHD放送では、放送用データをいったんストレージに保存し、放送の24時間前にストレージからビデオサーバーへ自動コピー。番組の編成データに合わせAPC(自動番組送出システム)が再生の指示をするとビデオサーバーが放送の信号を自動で送出し、その信号を符号化して衛星にアップリンクするという流れでデータのやり取りが行われます。
このフローをそのまま使えるのが理想ですので、どうすればデータ量が膨大になる4K放送でも同じことが実現できるのか、私たちも試行錯誤を繰り返していました。
《永目氏》 そんなとき、ソニーが次世代の映像フォーマット"XAVC"対応の送出用ビデオサーバーを開発するという提案をしてくれたのです。
《ソニー 高野》 弊社も4K放送の送出用ビデオサーバーを開発するのはチャレンジでした。スカパーJSAT様から送出に関する技術やノウハウを提供していただきながら、ソニーの製品設計メンバーが担当者の皆さんと直接やり取りできる機会も設けつつ開発を進めました。これにより、現場でより活用しやすい製品を、スピーディーに開発することができたと思います。
《前中氏》 送出にあたってはビデオサーバーが命です。前述のフローを実現する意味でも、4K信号を出せる送出用ビデオサーバーが開発されたことは大きかったですね。
《永目氏》 もう一つ重要であったことは、ソニーがXAVCを4Kの映像フォーマットとして位置づけると決断してくれたことです。放送機器全般を開発しているソニーが4Kのフォーマットを決めて普及に努めたことで、撮影・編集・送出といった放送機器全般において一貫したフォーマットでデータのやり取りすることができるようになりました。
《前中氏》 映像の素材はデジタル化され編集を行い、さまざまなフォーマットに書き出されるのですが、規格が統一されていないと映像にノイズが入ったり、途中で止まったりするリスクが高くなります。そのためXAVCを開発しているソニーにノンリニア編集システムを含め放送にかかわる一連の設備をトータルで提供してもらえるというのは大きな利点でした。XAVC規格を関連各社に広めてくれたことも4K放送成功の鍵になったと思います。
《石黒氏》 こうして試験放送を実現させることができたのですが、今回の自主放送では、新たに4K自主放送(2チャンネル)送出システムを構築し、そこへ既に放送している「Channel 4K」を統合するプロジェクトとなりました。試験放送の際の実績とご提案内容からソニーへお願いすることにしました。4Kを熟知しているソニーだからこそ、我々が4K放送で実現したかった”HD同様の送出フロー”を汲み取った提案をいただけたと思います。

送出システムとしては異例の早さで完成、試験放送の翌年のJリーグ開幕に間に合わせる

マスタールーム内の様子 1 マスタールーム内の様子 2 マスタールーム内の様子 3

マスタールーム内の様子

《永目氏》 4K自主放送のスタートにあたっては、当社のコンテンツの柱であるJリーグの開幕が3月ということもあって、それに間に合わせるというのが絶対条件でした。しかし発注したのは、試験放送を開始したばかりの2014年の8月で、あと半年しかありません。10月にシステムの構築を開始し、翌年の1月末に完成。その後1カ月間の試験を行い、3月1日からの放送開始にどうにか間に合わせました。通常、放送送出システムの構築には約1年半かかりますので、今回は異例の速さと言えます。
《前中氏》 開発環境も決してやりやすい環境ではなかったと思います。「Channel 4K」は放送中ですので、それを止めることなく統合する必要がありました。「Channel 4K」の放送が終了した後、夜の7時から作業を実施。そして朝には元のシステムへ戻し、放送に問題がないかチェック。これを毎日繰り返しながら、何度もリハーサルを行い、機能ごとに徐々に統合を進めていきました。
《石黒氏》 今回もソニーの技術メンバーにほぼ常駐していただくことで、何かあってもすぐに対応してもらえたのはありがたかったですね。お互いが普段から忌憚のない意見交換をすることで、信頼関係を築け、難易度の高い計画でもスムーズに進めることができたと思います。
《前中氏》 またソニーは返信のレスポンスが早いのが素晴らしいですね。既存のHD放送の送出システムでは海外製品も採用しているのですが、レスポンスが期待通りでないことも多いです。一方、ソニーはレスポンスが早く、難しい部分の対応についてもロードマップを示してくれたので、安心してプロジェクトを進めることができました。

4K放送の未来に向けて

写真右から スカパーJSAT株式会社 前中氏/永目氏/石黒氏 ソニービジネスソリューション株式会社 高野

写真右から
スカパーJSAT株式会社 前中氏/永目氏/石黒氏
ソニービジネスソリューション株式会社 高野

《永目氏》 今後は4Kの特性をフルに生かした4Kだからこその放送にさらにチャレンジをしていきます。その可能性を広げてくれるものの1つが次世代の高画質化技術HDR(High Dynamic Range)※3 だと思います。HDRにより明暗差を幅広く表現できることで一段とリアリティのある映像がお届けできるようになります。撮影用のカメラから家庭用のテレビまで一連の映像設備にHDRが採用されることで、映像コンテンツの持つ可能性もさらに広がっていくと思います。
《石黒氏》 商用の4K放送は始まったばかりで、スカパーJSAT以外はまだどこも実現していません。HD同様、さらにはそれ以上に、より効率的で、より完成度の高い仕組みを作っていきたいですね。
《前中氏》 4K放送にはまだまだ課題もあります。今後もいろいろと相談すると思いますが、それに応えてくれることを期待しています。
《ソニー 高野》 世界でも先駆的な4K放送のノウハウを持つみなさまと4K放送送出システムを安定して稼働させ、さらに発展させていけるよう、引き続き尽力します。

  • ※1 NexTV-F:4Kや8K、スマートテレビなど次世代放送の早期実現、サービスの高度化、ユーザの利便性向上を目的に設立された社団法人。
  • ※2 Channel 4K:4K試験放送を行うために設立されたチャンネル。NexTV-Fが放送免許を取得し、フォーラム加盟団体から提供された番組を放送している。
  • ※3 HDR技術:明暗の差が大きいシーンでも黒つぶれや白とびなく表現でき、より現実の明暗差に近い臨場感のある映像を実現する技術。

導入機器・システム

  • プロダクションビデオサーバー
  • マルチフォーマットプロダクションスイッチャー
  • 30型4K有機ELマスターモニター
  • 30型業務用4K液晶モニター

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